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1昆虫図鑑 ★2022/01/28(金)09:35:05.17ID:CAP_USER.net
延々と続く「椅子取りゲーム」のような就職活動

韓国ではいつになったら、若者が就職しやすくなるのだろうか。

 大統領選挙まで残すところあと一月半になったいま、心底そう思っている。どの候補者も若者の就職難に言及して、それを改善すると話している。だが5年前の大統領選挙でも同じ話を聞いたではないか。

(中略)

 韓国の就職活動は、延々と続く「椅子取りゲーム」のようになってしまった。

 (中略)

 私がここで言う「椅子取りゲーム」とは、そうした通常の意味ではない。少ない就職口に多くの若者が溢れるように押しかけ、我先にと入り込もうとする。韓国ではその状態が延々と続くのだ。

大学の授業は「仕事で役立つ」ものに

 韓国政府もただ手をこまねいているだけではない。若者を就職させるために、教育制度に手を加えてきた。

 だがそうした変革は、成果をもたらすどころか、教育機関や学生にかなりのストレスをかけ、混乱を生むことになった。私の所属する専門大学(日本で言うところの短期大学)もそれに当てはまる。

 ここで少し、日本と韓国の大学教育の違いについて説明しておこう。大学教育において、日本では大学の自治というものが認められていて、大学でどんなことを教えるかは、担当教員が科目内容に合わせてかなり自由に決定することができる。ところが、韓国では政府の教育部が大学での教育内容の決定にそれなりの権限をもつ。

 朴槿恵(パク・クネ)政権は、低迷を続ける若者の就職率を向上させるため、学生の就職能力を示す数値を大学の教育課程に導入した。「国家職務能力基準(NCS)」(National Competency Standards)と呼ばれる数値がそれだ。受講した講義の成績が高ければ、NCSは高くなる。現在の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、朴政権が始めたNCS制度を一部変更しつつ引き継いでいる。

 このNCS制度の導入によって、大学での授業内容は「仕事で役立つ」ものでなければならなくなった。
 
(中略)

 それだけでなくこの制度は、就職活動の当事者である学生を不安にさせている。中央日報は今月、この数値のおかげで「就職できるのか、さらに不安になる」と漏らす若者の言葉を紹介した。つまり、就職の道を開くために勉強するのだが、その成績がすべて就業に適しているかどうかの数値として表示されてしまうのだ。

韓国に疲れてしまう若者たち

 (中略)

 就職競争が厳しいがゆえに焦って就職したものの、会社とのミスマッチで1年以内に会社を辞めてしまうケースも少なくない。そのなかには職場で嫌な思いをしたためにしばらく息抜きをする「求職放棄者」と呼ばれる人もいて、現在はその数が63万人にのぼるという。

こうした現実に、学生の心は疲弊してしまう。韓国に疲れてしまうのだ。

 だから、多くの学生が外国を目指す。私も、教え子たちから「日本に住んでみたいです」とよく言われる。私が日本人だからそう言うのかもしれないが、今の日本が彼女たちの期待に応えられるのか、そんなに未来が輝いて見える国なのかは、微妙なところだ。そんなことを学生に意地悪に話すと、「私たちは日本で暮らしたいんです!」と、私に言い諭すような言葉が返ってくる。それを聞くと、日本での暮らしだって苦労が多いのだから、彼女たちが失望しなければ良いのだがと、いつも思ってしまうのだ。

 3月に控えた韓国大統領選挙では、若者の投票動向が当落に大きく左右すると言われている。“彼らの未来”が選挙戦の大きなテーマの1つになるだろう。2月初めの旧正月ではどうやら政策討論会もあるようだ。

 果たしてその中で、「椅子取りゲーム」社会を終わらせるためのビジョンが打ち出されるのだろうか。若者が安心して暮らせる国造りは、そう簡単ではないであろう。


(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68635