韓国 Flag 

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:2014/08/24(日) 16:11:39.96 ID:
【コラム】韓国ミュージカルの「偏向」

 「最近の子たちには是非こういうものを見せるべきだ!」。6月28日、大邱オペラハウスで公演を観賞した60代男性が家族のことを思い出してか強い調子で言った。この男性が見たのは大邱国際ミュージカル・フェスティバル開幕作だった中国ミュージカル『Mama Love Me Once Again』だった。

 「中国は舞台公演の分野でも恐ろしいほど急速な発展を遂げている」といううわさに緊張した様子を見せていた韓国の音楽界関係者たちだが、幕が上がると少しホッとしたようだ。ストーリーが古くさく、音楽・衣装・舞台のどれ一つ取ってもまだ韓国との差が歴然としていたからだ。しかし、終幕に差し掛かったころ客席の雰囲気が一転し、涙する観客も出てきた。非道な犯罪の実話を愛とざんげの物語にしたこのミュージカルは、愚直とも思われるほど「親孝行」と「母の愛」という普遍的なテーマで勝負し、最終的に観客を感動させたのだ。

 問題は、韓国ではこうしたテーマでミュージカルを作ることができないという現実にある。この10年間で韓国のミュージカル市場は年間1000億ウォン(約100億円)台から3000億ウォン(約300億円)台へと3倍以上も成長し、1年間に上演されるミュージカルは再公演を含め2500本に上る。ところが、これは非常にいびつな市場だ。なぜなら、ミュージカル客の90%近くが20-30代の女性客だからだ。実際に公演会場に行ってみると、あとの5%は別の年齢層の女性で、残りの5%は女友達に手を引かれ、どこか戸惑った様子でやって来た男性客に見えた。

 観客層の偏りは作品の偏向性につながる。最近韓国で上演された海外ミュージカルの韓国版大規模公演は『エリザベート』『ルドルフ~ザ・ラスト・キス~』『モーツァルト!』『二都物語』『三銃士』『ドラキュラ』などはすべて、古い少女漫画でも描かれたきらびやかな近世ヨーロッパを舞台としている。韓国オリジナル・ミュージカルのほとんどは似たり寄ったりのロマンチック・コメディー物ばかりだ。ミュージカル界ではトップ男優の出演料がトップ女優に比べ5倍以上もアップした。

 若い女性客はこれまで韓国ミュージカル産業発展のけん引車だった。女性客は高いチケットを喜んで買うほど購買力がある上、リピーターになるが、作品を見る目も厳しくなり、そこそこの作品では質的に満足できないほどの「マニア」層を形成している。

 だが、それに伴う副作用もある。制作会社はそうした女性客を対象にして売上を図れる海外ミュージカルを高い制作費をかけて輸入し、高額のギャラが発生するスターを使おうとする。制作費上昇はチケット価格の高騰につながり、新たな観客層が望めなくなる。「大規模ミュージカル公演のVIP席は13万-14万ウォン(約1万3000-1万4000円)」と聞けば、ほとんどの人はあきれた顔をする。

 資金難により公演取り消しが相次ぐなど、韓国ミュージカル業界がピンチに陥っているのは、旅客船「セウォル号」沈没事故による消費自粛ムードのせいだけではない。需要は変わらないのに、供給だけが飽和状態という市場構造こそ根本的な原因だ。今や「政府支援が必要」という声さえ聞かれるが、業界自らが「作品の多様化」「チケット価格の多様化」により真の観客層拡大に腰を上げなければ、どんなに支援しても韓国ミュージカルは業界と特定の観客層だけによる「お祭り騒ぎ」に終わってしまうだろう。

兪碩在(ユ・ソクチェ)文化部記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2014/08/24 07:07
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/08/23/2014082300795.html