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毎日新聞 2014年08月03日 09時14分(最終更新 08月03日 11時45分)
http://mainichi.jp/select/news/20140803k0000e040096000c.html

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 尖閣諸島を含む南西諸島の有事の際、自衛隊員を戦闘地域まで運ぶために民間フェリーの船員を予備自衛官とし、現地まで運航させる方向で防衛省が検討を始めた。すでに先月、2社から高速のフェリー2隻を借りる契約を結んだ。太平洋戦争では軍に徴用された民間船約2500隻が沈められ、6万人以上の船員が犠牲となった歴史があり、議論を呼びそうだ。

 同省が隊員輸送に活用するのは、津軽海峡フェリー(北海道函館市)の「ナッチャンWorld」号と新日本海フェリー(大阪市)の「はくおう」号で、ともに1万トンを超える。同省は2隻を今年度末まで7億円で借り上げたが、来年度以降は両社や金融機関などの出資で設ける特別目的会社(SPC)が船を所有し、平時は民間、有事には防衛省が使う仕組みを目指す。

 乗組員については、有事や平時の演習など年間数十日の運用で現役自衛官を専従させられないとの判断から、自衛官OBの予備自衛官や、あらかじめ予備自衛官に仕立てた民間船員を充てることを検討している。

 背景には海自出身の予備自衛官不足がある。2012年度の予備自衛官約3万2000人の大半は陸自出身者で、海自出身者は682人。現役海自隊員で艦船に乗り組むのは3分の1程度で、船に乗れる予備自衛官は限られるとみられる。招集時には一刻も早く港へ行く必要もあり、居住地などを考えると条件を満たす者はさらに少なくなる。

 しかも、海自出身の予備自衛官は新任を退任が上回り、毎年約50人ずつ減少。自衛隊の艦船と民間のフェリーでは操船技術が大きく異なることもあり、2隻の運航に必要な乗組員約80人を自衛隊OBでまかなうのは難しいとみられる。

 同省防衛政策課は、「予備自衛官になるかどうかを決めるのは船員本人で、強制できない」と強調。予備自衛官になるよう船員が強いられるおそれについては「会社側の問題で、省としては関知しない」としている。装備政策課は「有事で民間船員の予備自衛官が乗り組めば、操船技術は格段に安定する。船を操れる者と、自衛官の感覚を持つ自衛隊OBの双方が乗るのが好ましい」としている。

 防衛省の2隻借り上げに協力する船会社2社は、取材に応じていない。

 ◇「事実上の徴用」

 全国の船員で構成する全日本海員組合の元関西地方支部長で、船員の歴史に詳しい新古勝さん(70)は、「予備自衛官になれと会社に言われたら、船員はたやすく断れない。事実上の徴用であり、太平洋戦争の悲劇を繰り返しかねず、絶対に反対だ」と批判する。

【平和取材班】