日本 

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:2014/05/24(土)11:17:22 ID:
――日中日韓の関係が冷え込む一方、日本人の中国や韓国に対する感情も悪化しています。

金慶珠:(以下、金)
諸々の要因はありますが、やはり根底にあるのは、アジアのパワーバランスの変化の中で日本社会が感じている閉塞感ではないでしょうか。経済では中国には抜かれ、韓国にもある産業分野では脅威を感じている。

これまではとるに足らない存在で、興味すらなかった相手に対し余裕がなくなってきている。 そんななか、歴史問題や領土問題とも絡んで『韓国人は嘘つきだ』とか『国に帰れ』などという攻撃的言動が横行している。その意味で、私は昨今の「嫌韓ブーム」は、日韓の問題ではなく、日本国内の社会問題であると見ています。

周来友:(以下、周)
本来なら、日本はもっと堂々としていればいいと思うんですけどね。『日本はすごいんだ』とか『世界から尊敬されているんだ』とか言っている出版物やテレビ番組が目につきますがそれ自体、自信喪失の現れ。私が言うのもなんだけど、技術や社会秩序、文化など、中国や韓国がどう逆立ちしても50年は絶対に叶わない、日本はいいものを沢山持っているじゃないですか。長年日本に住んでいて日々感じているんです。

金:
安倍政権は『強い国日本』というスローガンを掲げていますが、そもそも日本は強い国。GDPで中国に抜かれて第3位になったからといって、4位のドイツとの差も歴然で、当面は抜かれる可能性があるわけでもない。

それなのに、排外主義の動きが高まっているのには、 日本の外国人居住者の少なさも一因だと思います。全人口に対する外国人の割合は、ヨーロッパで11%ほど、韓国は3.1%ですが日本は1.6%しかない。異質なものに対する不慣れ、という事情もあるのではないでしょうか。

周:
それは仕方のないことですよ。何しろ、日本はよくも悪くも島国ですからね。しかも目をいつも欧米に向けているんです。近頃、ヨーロッパが移民に悩まされているのをみて、余計に心配して逆戻りしようかなと動揺する部分もあります。

金:
対韓感情に限って言えば、ブレ幅が大きいことも気になります。内閣府の調査によると、2011年には日本人の約62%が韓国に対して親しみを感じていたのに、翌年には39%台に急落しているんです。李明博の竹島訪問や、天皇への謝罪要求が取り沙汰された事などが背景にあるのですが、こうした大幅な変化は中国や他の諸外国に対しては見られない特徴。

周:
それは韓国の日本に対する態度がブレているから、というのもあるんじゃないですか?韓国の大統領は就任当初は対日政策で未来志向を打ち出したりするのに、支持率が落ちてくると急に強硬な反日に転じるじゃない?

ある意味ではその点、中国政府の対日政策は一環していると言えるかもしれない。日本の協力を、昔は資金の面で、今は技術的な面で得ながら、日本にはいつも厳しい視線を注いています。それは日本には叶わないんだと敬意を払わざる得ない部分もあれば、警戒しなければならない要素もあると感じているからだと思うよ。

金:
残念ながら、韓国人の対日感情は「親しみを感じない」で一貫しています。因みに、「大統領の
支持率と反日」との関連性は日本のメディアが作り上げた一種の都市伝説のようなものです。事実、それを裏付ける具体例もないまま、韓国側の対日強硬姿勢が見られると、それは韓国内の政治事情によるものだと決めつけるんですね。

それにしても、SPA!も含めてですが、マスメディアによる最近の嫌韓・嫌中ビジネスはちょっと酷い。おそらく在日の中国人、韓国人ならずとも冷静な日本人ならみんな違和感をもっていると思いますよ。今日はそこを質そうと思ってやって来たんですが、私が呼ばれたということは御誌は方向転換されたんですか?(笑)。

例えば最近起きた観光船沈没事件では、日本のメディアは我先に逃げ出した船長や乗組員のことばかりを伝えていますよね。実際には修学旅行生の救助にあたって命を落とした女性乗組員や教師も大勢いたんです。しかしそのことはほとんど報道されない。結果、日本のネット上では、韓国人批判が書き立てられている。まず先に韓国憎し、があってニュースが作られていく。テレビもこれに便乗する。こうしたメディアによる空気作りによって、どんどん溝が深くなってしまっている印象が拭えません。

周:
まあ、その方が売れるんだからしょうがないじゃない(苦笑)。活字離れと業界の人が心配する中、ネトウヨの方がよく本を買ってくれるんだよ。でも往々にしてそういった記事を書いている人って、個人的に会って話すと意外と親中、親韓が多かったりするんですよ。両国に詳しくなるにつれて、いい面も悪い面も見えてくる。