(イメージです。)
1:2017/03/13(月) 10:31:00.69 ID:
論点
朴韓国大統領 罷免
毎日新聞2017年3月11日 東京朝刊

 クーデターによる失脚、不正疑惑への厳しい追及、果ては暗殺に自殺……。政権の終わりが見えるたびに繰り返される韓国政治の混乱。今回もまた、「大統領の犯罪」が指摘された朴槿恵(パククネ)氏について、憲法裁判所は韓国憲政史上初めての罷免妥当の判断を示した。一衣帯水の日韓関係は冷え込み、北朝鮮は暴走の度合いを深めるなか、節目である「弾劾決定」は何をもたらすのか。

安定した権力移譲できるか 李鍾元・早稲田大韓国学研究所所長

(中略)

国内対立の克服が課題に 西野純也・慶応大教授

(中略)

混乱、日本の安全保障に不利 木宮正史・東京大大学院総合文化研究科教授

 朴槿恵大統領の罷免は予想されていた。8人の裁判官全員が罷免に賛成したのは意外だったが、罷免を求める世論が8割近くに達している状況で朴氏が政権に復帰すれば、韓国政治の混迷は一層深まっただろう。また憲法裁は、朴氏の親友の崔順実被告による国政介入を「憲法違反」と断じた。罷免を見送った場合の民主主義の毀損(きそん)や国内の政治的混乱を、罷免による混乱とてんびんにかけ、罷免の方が影響は少ないと判断したとみられる。「全会一致」を示すことで、これ以上の国内の分断を避ける狙いもあったのだろう。

 だが外交を考えれば、米国でトランプ大統領が誕生し、北朝鮮の核・ミサイル開発が活発化している混迷の時期に国のトップを失ったことは、韓国にとって望ましい事態ではない。

 韓国は北朝鮮問題をめぐり、米中両国の股裂きにあっている。トランプ政権は対北朝鮮政策の見直しを進めているとされ、政権内からは北朝鮮への軍事的オプション行使への言及も聞かれる。一方で今月、北朝鮮の核・ミサイル開発への対抗を目的とした在韓米軍への地上配備型迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」の配備が始まり、これに反対する中国の強い反発を招いた。朝鮮半島の緊張が高まるなか、事態の打開に主導権を発揮すべき韓国が、朴氏弾劾の混乱で責任能力を失い、右往左往している。

 今回の問題が浮き彫りにしたのは、韓国政治の混乱が、日本の安全保障にとっていかにコストが大きいかということだ。

 北朝鮮問題の打開には、中国の関与が不可欠だ。THAAD配備が中国に向けたものではないことを粘り強く説明し、中国がもっと北朝鮮問題に積極的に関与するよう説得する必要がある。日本も韓国も単独で中国に対処するのは難しく、両国が協力しない選択肢はない。だが、その日韓関係も、慰安婦問題を巡り悪化している。

 朴氏罷免を受けて行われる韓国大統領選では、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムンジェイン)氏の優位が伝えられる。文氏は野党勢力をまとめきれていないが、保守勢力の分裂もあって有力な対立候補誕生の可能性は少なく、優位は揺らがないだろう。その文氏は慰安婦問題を巡る日韓合意について「正当性を認められない」と批判した。事実上の選挙戦での発言とはいえ、対日外交における戦略性が感じられない。一方で日本政府が、釜山の日本総領事館前に建てられた「少女像」を受け長嶺安政駐韓大使を帰国させるという出口の見通せない対応に出たのも望ましくない。

 文氏には「対北朝鮮宥和(ゆうわ)派」「対日強硬派」との見方もあるが、政権に就けば現実的な考えに修正されるだろう。支持勢力の要求と現実的な外交との板挟みになってしまった、盧武鉉(ノムヒョン)元大統領の轍(てつ)を踏まないようにすべきである。日本も少女像撤去にこだわらず、大統領選を理由に大使を帰任させ、新政権から「移転のための努力」を引き出すことで、矛を収めるべきだ。多少譲歩しても、日韓関係を適切に管理するために、高度な政治判断が必要だ。【聞き手・尾中香尚里】

検察捜査に焦点

 韓国憲法裁判所は10日、崔順実(チェスンシル)被告による国政介入事件を巡り、朴氏が大統領の地位と職権を乱用したと断じ、裁判官8人全員の賛成で罷免とした。一連の事件捜査で、崔被告、朴氏の側近、サムスン電子副会長らが次々と逮捕、起訴された。一方で朴氏は捜査に応じず、裁判所は「憲法順守の姿勢がうかがえない」とも指摘した。朴氏失職を受け検察捜査の行方に焦点が移る一方、大統領選に向け各勢力の候補者擁立の動きが加速する。

http://mainichi.jp/articles/20170311/ddm/004/070/006000c