1:2017/02/24(金) 02:40:19.02 ID:
 中国伝統の「元宵節」である11日、中央テレビは恒例の総合番組「元宵晩会」を全国に流した。その中で特に目立ったのは、最大のスポンサー企業である碧桂園の自社プロジェクト宣伝である。

 碧桂園は中国の大手不動産開発業者で、9万人の従業員を抱え、年商1400億元(約2兆3300億円)を超える巨大企業である。この碧桂園が「元宵晩会」で宣伝に最も力を入れたのは、2015年末から着手し、2035年の完成を目指す巨大投資プロジェクト「森林都市計画」である。

 「森林都市」とはその名の通り、何もないところに1つの都市を丸ごと造る計画だ。碧桂園は2500億元(約4兆1600億円)を投じて、住宅30万戸と関連の商業施設・教育施設からなる街を、20年の歳月をかけて造っていくのである。

 いかにも中国巨大企業らしい壮大なる計画だが、実は碧桂園は、中国国内ではなく、外国のマレーシアでそれをやろうとしているのだ。

 昨年から、マレーシア政府の許可と支持を得て、シンガポールに隣接する同国のイスカンダル地区で、碧桂園はこの「森林都市プロジェクト」を始めた。予定地はシンガポールの国境からわずか2キロの距離である。

 中国企業が外国の地に都市を造って一体誰を住ませるつもりなのか。ターゲットは中国国内の富裕層である。予定地をマレーシアに選んだ理由は同国政府の外資導入と移民に対する優遇政策にあるが、「シンガポールに隣接」というのも中国人富裕層にとっては大きな魅力であろう。

 実際、碧桂園が「森林都市」のために行った広告活動はほとんど中国国内向けのもので、中央テレビなどを頻繁に使っているほか、投資者・住居者募集の盛大なキャラバンを全国の各都会で展開しているのである。

 つまり碧桂園はこれから、数十万戸の家をマレーシアで造って、100万人単位の中国人をそこに定住させようとしている。どう考えても、一種の「植民計画」以外の何ものでもない。

 碧桂園を後押ししているのは中国政府である。中国最大の国有通信社・新華社が刊行する『瞭望週刊』の2016年11月30日号は、「森林都市」に関する長文の記事を掲載した。

 その中で、中央官庁の国家発展と改革委員会の関係者が、森林都市計画は国家の「一帯一路戦略」の「模範プロジェクト」だと高く評価した上で政府としてのバックアップを表明した。碧桂園集団副総裁の朱剣敏氏も、「森林都市は国家の“一帯一路戦略”に沿って作った計画である」と明言している。

 「一帯一路戦略」とは、習近平国家主席が提唱した経済圏作りの構想で、中国西部と中央アジア・欧州を結ぶ「シルクロード経済帯」(一帯)と、中国沿岸部と東南アジア・インド・アラビア半島・アフリカ東を結ぶ「21世紀海上シルクロード」(一路)の2つの地域でインフラ整備および経済・貿易関係を促進するというものである。

 だが、碧桂園森林都市計画の例からすると、この「一帯一路戦略」には、アジア諸国に中国人の「植民」地域をつくって中国人を大量に移住させる計画も含まれているようである。

 マレーシア政府は今、「森林都市計画」がもたらす莫大(ばくだい)な投資や雇用機会創出などの経済利益のためにそれに積極的に協力しているが、将来、中国人による、中国人のための「100万人都市」が自国の中にできてしまうことが、マレーシアとその国民にとって果たして良いのか、との問題は必ず浮上してくるのであろう。

 そしてそれは、マレーシアだけでなく、アジア諸国全体にとっての問題でもある。



【プロフィル】石平
 せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

http://www.sankei.com/world/news/170223/wor1702230017-n1.html


国連欧州本部で演説する中国の習近平国家主席。中国企業による海外での「植民」計画が関心を集めている=1月、スイス・ジュネーブ(AP)