毎日新聞 

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:2014/04/23(水)08:12:47 ID:
海事裁判を扱う中国の上海海事法院が19日、戦前の船の賃貸契約をめぐる訴訟で敗訴した商船三井所有の鉄鉱石運搬船を浙江省の港で差し押さえた。

中国では戦争中の強制連行をめぐり、戦後補償を求めた訴訟を起こす動きが相次いでいる。日本企業を狙いうちにした政治的動きとの懸念が広がったのも無理はない。菅義偉官房長官は「中国でビジネス展開する日本企業が萎縮しかねない」と述べたが、多くの国民の声を代弁したものだろう。

しかし、中国外務省の秦剛報道局長は「商業契約をめぐる争いであり、戦争賠償問題とは関係ない」と戦後補償問題との関連を否定した。

中国側の主張に理屈がないわけではない。裁判は日中戦争直前の1936年、商船三井の前身企業と船2隻の賃貸契約を結んだ中国企業の創業者遺族が未払いの賃貸料や船が沈没した損失の賠償を求めたものだ。

提訴は88年。中国の民法の施行直後で未解決の紛争は時効の対象にならなかった。当時は中国国内に戦後補償提訴の動きもなかった。中国の裁判所が戦後補償に絡んだ訴えを受理したのは今年が初めてだ。菅官房長官も秦報道局長の発言を受け、「訴訟と戦争の関係を断定的に述べることは困難な面がある」と一定の理解を示した。

なぜ、この時期に差し押さえたのかとの疑問は残るが、上海海事法院は昨年12月に原告側から和解交渉が決裂したとして強制執行の請求が出されたと説明している。

(中略)

しかし、疑心暗鬼から相手側の行動の意図を読み誤っては、不信がいっそう拡大し、誤解から不測の事態も生じかねない。

今月に入って中国の胡耀邦元総書記の長男の胡徳平氏が安倍首相と会談した。24日からは舛添要一東京都知事が北京市長の招待としては18年ぶりに訪中する。滞っていた日中対話がようやく動き出した感がある。

まずはいきり立たず、冷静に中国側の出方を見守るべきだ。戦後補償と関係のない一般の訴訟ということであれば、原告と被告、裁判所の間で解決できる道もあるだろう。幸い、日中両国政府の主張は大きく隔たってはいない。むしろ、不信を減らすきっかけにしてはどうか。

http://mainichi.jp/opinion/news/20140423k0000m070152000c.html