1:2016/12/01(木) 18:51:40.00 ID:
 昨年4月2日掲載の本欄は中国地方政府の負債問題を取り上げたが、現在その問題は、さらに深刻化している。

 先月14日、中国国務院は「地方政府債務リスク応急処置案」を公布した。処置案の中身は後述するが、「債務リスク」「応急処置」といった尋常でない言葉が並んでいること自体、中央政府が抱える危機感の表れである。

 地方政府が抱える債務はどれほどのものか。

 今年3月7日、当時の財政相、楼継偉氏が認めたところでは、2015年末、地方政府の債務残高は16兆元(約280兆円)に上ったという。同じ年、中央政府を含めた全国の政府財政収入が15・4兆元であったから、地方政府債務の大きさがよく分かる。

 もちろん、上述の「債務16兆元」というのは単に各地方政府が直接に借金した負債であって、それ以外に、たとえば地方政府が担保となっている「融資平台(投資会社)」などの負債も実質上政府の債務となっている。

 こうした「隠れ債務」を計算に入れると、中国の各地方政府の抱える債務は、すでに、中央政府ですら把握しきれないほどの天文学的な数字になっていることが推測できよう。

 さらに問題となっているのは、地方政府債務のあまりにも激しい増え方である。

 2012年末、地方政府の債務総額は9・62兆元であったが、3年後の15年末になると、それが前述の16兆元に膨らんできている。年に2兆元(約35兆円)増の計算だ。

 このままでは、各地方政府は膨らむ一方の債務の返済に追われ、破綻への道をたどるのは時間の問題であろう。現に、今年1月から10月まで、地方政府が債務のために支払った利息だけでも4107億元に上り、前年同期比で41・2%も激増している。

 このような緊急事態の中で、「応急処置案」が登場してきたわけだが、問題は、この「処置案」が果たして問題の解決になるのか、である。

 その最大のポイントは、今後、中央政府は地方政府債務の肩代わりや救済は一切せず、すべては地方政府の責任で処理せよ、という一言である。

 つまり、中央政府が出した「方策」とは、地方政府に債務処理の責任を負わせただけのことである。

 経済が沈滞化している中で中央政府も財政難に陥り、もはや地方政府の面倒を見られなくなったのだ。地方政府からすれば、それは「応急処置」というよりも、まさに中央政府の「不応急処置」に等しい。

 結局、地方政府は今後、まったく自力で債務危機を解消していくしかない。そのために彼らがとれる方策は、財政支出の多くを占める公共事業投資を減らす一方、税収の大幅増を図ることであろう。

 中国の今の税収制度下では、間接税(消費税)などの主な税収は全部中央政府に持っていかれるから、地方政府が税収を大幅に増やすには、主要な税収源となる地方企業の法人税や営業税に目を付ける以外にない。

 つまり今後、中央から「応急処置」を厳命された各地方政府は一斉に、なりふり構わないやり方で民間企業を「搾りの対象」にしていくこととなるだろう。

 当然、経済衰退に苦しんでいる多くの中小企業は、さらなる苦境に立たされる。その結果、中国経済のより一層の地盤沈下を招きかねない。まさに、悪循環のアリ地獄であろう。

 こうした中では、各地方政府が、今までは、さまざまな優遇政策をもって誘致してきた外資企業をも魅力的な「税収源」と見なすこともあろう。現地の日系企業は気をつけねばならない。



【プロフィル】石平
 せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

http://www.sankei.com/column/news/161201/clm1612010005-n1.html


今年3月の記者会見で、地方政府の債務総額が16兆元に上ることを発表した中国の楼継偉財政相(当時)=北京(共同)
 
=管理人補足=

倒産銀行第一号発生 中国共産党はすでに破綻している 20161128 NTDTVJP
2016/11/28 に公開