1:2016/11/28(月) 01:14:28.50 ID:

韓国の国民向けに談話を発表し、謝罪する朴槿恵大統領。瀕死の朴政権を救うことができるのは…=11月4日、ソウルの青瓦台(聯合=共同)

 韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の友人、崔順実(チェ・スンシル)被告(60)の国政介入疑惑は、日韓関係や東アジアの安全保障環境にも影を落としそうだ。

 日本政府は慰安婦問題をめぐる日韓合意や、4年越しで締結にこぎ着けた日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA、ジーソミア)などが事実上破棄されることに神経をとがらせている。日韓関係はゼロベースどころか、マイナスからの再構築を迫られる可能性もある。

 「朴政権のうちにやれることは全部やるつもりだったが、誤算だ…」

 朴政権の混乱ぶりに、外務省幹部は肩を落とす。政府は“反日”一辺倒だった外交・安全保障政策を転換した朴氏の任期中に、日韓間の懸案を一気に解消させる算段を立てていた。

 ソウルの日本大使館前に不法に設置されている慰安婦像の撤去は、その典型といえる。撤去は昨年12月の日韓合意で確認されたものの、韓国側に具体的な動きはこれまでなかった。

 それでも、国内の反発を押し切って日韓合意に踏み切った朴政権に一縷の望みをかけ、政府は韓国側に撤去を呼びかけ続けてきた。だが、朴政権のレームダック化で、期待はついえた。

 実際、韓国国内には「崔氏は日韓合意にも介入した疑いがある」として、日韓合意そのものの白紙撤回を求める声が出始めている。

 朴政権が残り1年3カ月の任期を全うできたとしても、慰安婦像の撤去を断行できる推進力はない。朴氏の退陣後に誕生するであろう野党系の大統領下では、合意が事実上破棄される可能性が高い。

 23日に締結したGSOMIAも同じ憂き目だ。GSOMIAは日韓間で安全保障分野の情報共有を可能にする協定で、弾道ミサイル発射や核実験を強行する北朝鮮の脅威に対応するには不可欠の枠組みといえる。

 李明博(イ・ミョンバク)政権時代の2012年6月に締結されるはずだったが、韓国側の「反日感情」を理由に署名当日にドタキャンとなった“いわく付き”の協定でもある。

 韓国内では現在も野党や左派勢力からの反発が根強いが、朴政権は今年10月末、急速に高まる北朝鮮の脅威を理由に、日本との交渉再開に踏み切った。

 皮肉にもその矢先に崔氏の国政介入疑惑が噴出。なんとか締結まではこぎ着けたが、厳しい逆風下で適正に運用されるかには懸念が残る。次期政権では「ちゃぶ台返し」(外務省)も予想される。

 日韓間の問題ではないが、朴氏が決断した米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備にも撤回を求める動きが強まることは必至だ。

 防衛省幹部は「GSOMIAもTHAAD配備も東アジアの安定には欠かせない。韓国はポピュリズム(大衆迎合主義)のためにそれを破棄するのか」と憤る。

 日中韓3カ国は12月に東京で首脳会談を開催すべく調整を急いでいるが、朴氏の出席は微妙な情勢だ。朴氏側は出席の意向を示しているが、野党は大統領の弾劾訴追案を国会で採決する動きを本格化している。

 朴氏が弾劾訴追されれば大統領権限は停止され、日中韓首脳会談への出席は不可能になる。日中韓3カ国首脳会議は東アジアの安全保障環境について意見を交わす貴重な場でもあり、その機会喪失は痛手だ。

 外務省幹部は諦めムードの口調でこうつぶやく。

 「朴氏の窮地を救えるのは北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長くらいだ。弾道ミサイルでも発射すれば韓国内はまとまる。しかし、金氏は敵に塩を送ることになると理解しているから今は撃たない。韓国よりもよほど冷静で合理的だ」

(政治部 石鍋圭)

 GSOMIA General Security of Military Infomation Agreementの略。軍事上の機密情報を提供する際、第三国への情報漏洩を防ぐために結ぶ協定。日米、米韓間では軍事情報を共有できる枠組みがそれぞれあるが、日韓間にはなかった。

http://www.sankei.com/premium/news/161128/prm1611280007-n1.html