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:2016/11/04(金) 05:22:14.71 ID:
 中国の国有企業で送電最大手の国家電網がインドや韓国、日本、そして東南アジアを結ぶ送電網の構築を模索している。長距離送電や高圧送電線に多額の投資が必要だが、中国国内の余剰電力を電力不足地域に提供するのが狙いだ。また、低炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの弾力的な利用方法として期待されている。

 国際エネルギー機関(IEA、本部パリ)によれば、中国は昨年、発電能力70ギガワット(7000万キロワット)強の石炭火力発電プロジェクトに着手したほか、4月末時点で200ギガワットの設備を建設していた。一方で、電力需要の伸び悩みにより、ほとんど稼働していない設備もある。

15兆円が無駄に

 グリーンピースなど環境団体からは中国が2020年までに1兆元(約15兆2700億円)相当の過剰電力を無駄にしかねないと懸念の声があがる。

 1、2両日にブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)が上海市で開催した会議に出席した中国とタイ、モンゴルのエネルギー担当政策当局者は「電力コスト削減に寄与するほか、再生可能エネルギーの利用に向けて送電網を柔軟に活用できる」とアジア地域に送電網の連系を構築するメリットを強調した。

 国家電網の技術責任者、ジャン・チピン氏は同会議で、「インドや東南アジア地域など、電力供給が不足している場所に電力を輸出することができる」と意欲を燃やす。同社の王敏副総経理(副社長)は「アジア地域のエネルギー需要は急速に拡大している。国際的なエネルギーの連系で、アジアは重要な部分を占めるだろう」とみている。

 もっともこうした発言には中国政府のバックアップがある。王副総経理は「こうした試みは中国政府が15年9月に打ち出した電力業界の大気汚染削減に向けた取り組みにも合致する」と説明する。中国電力建設集団の姚強副総経理は「地域間で連系する送電網が稼働すれば、地球温暖化対策を進める国際的な枠組みとして昨年採択されたパリ協定が定める排出量の上限目標を各国が達成するのに役立つ」と指摘。「化石燃料を再生可能エネルギーに置き換える取り組みは止めようのない趨勢(すうせい)だ」と言い切る。

 中国が連系送電網に重点を置くようになった契機は3月に訪れた。国家電網は同月、ソフトバンクグループによる「アジアスーパーグリッド構想」への参画を決め、ソフトバンク、韓国電力公社、ロシア・グリッドと北東アジアで国際的な系統連系を推進するための調査、企画立案を目的とした覚書を締結。

 国家電網の王副総経理は、国から国、大陸から大陸へ送電するための国際的な超高圧送電網についても提案しており、50年までの稼働に向け、50兆ドル(約5160兆円)の費用を見込んでいる。

技術的な課題も

 BNEFを創業したマイケル・リーブライヒ会長は上海で、「技術的な課題が多い。送電の距離が長ければ長いほど、障害にさらされて壊滅的な影響を受けるケースは増える。これらの問題に対処する必要がある」と語った。

 自然エネルギーの活用に向け、国際送電網の構築を目指す非営利団体「GEIDCO」のセクレタリー・ゼネラルを務めるワン・イミン氏は「中国にとって国際的な系統連系はスマートグリッドと超高圧送電線、クリーンエネルギーを結びつけるものになる」とみている。同氏は「技術的に実現可能だ。GEIDCOは中国東部から韓国、その後日本へ送電するための計画立案を年末までに予定している」と意気込んでいる。
 
(ブルームバーグ Feifei Shen)
 
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/161104/mcb1611040500021-n1.htm
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/161104/mcb1611040500021-n2.htm
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/161104/mcb1611040500021-n3.htm