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(イメージです。)


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:2016/11/03(木) 20:34:27.10 ID:
楊井人文 ?|?日本報道検証機構代表・弁護士
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yanaihitofumi/20161101-00063965/

産経新聞は10月29日付朝刊1面で「『二重国籍』 蓮舫氏を告発 市民団体」と見出しをつけ、市民団体が国籍法違反と公職選挙法違反の罪で蓮舫氏に対する告発状を東京地検に提出したと報じた。

しかし、ここで告発された嫌疑は時効が成立している可能性が極めて高く、検察が捜査する可能性は限りなく低いとみられる

(関連記事=「台湾人に中国法適用」報道は誤り〈解説:法務省の見解とは〉)。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yanaihitofumi/20160916-00062183/

今回の告発は産経新聞しか報じていない。告発状に記載された嫌疑について、次のように報じている。

告発状によると、蓮舫氏は17歳だった昭和60年1月に日本国籍を取得。国籍法に基づき、22歳になった平成元年11月28日までに日本国籍か台湾籍のいずれかを選択する義務があったにもかかわらず、今月7日に選択の宣言をするまで義務を怠った。

また、16年7月の参院選(東京選挙区)に立候補する際、国籍選択の義務を果たしていないにもかかわらず、選挙公報に「1985年、台湾籍から帰化」と記載して虚偽の事実を公表したとしている。

出典:産経ニュース2016年10月28日「蓮舫氏を東京地検に告発 二重国籍問題で市民団体代表ら」
http://www.sankei.com/affairs/news/161028/afr1610280020-n1.html

国籍法14条違反は不可罰、公選法違反の時効は3年

告発状を提出した市民団体「愛国女性のつどい花時計」岡真樹子代表に取材したところ、告発状の提供は断られたが、記載内容は産経新聞が報じたとおりで間違いないという。したがって、以下では、産経が報じた内容を前提に検証する。

告発とは、被害者等以外の第三者が、捜査機関に対して犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示をいう。報道によれば、「国籍法違反と公職選挙法違反の罪で」と告発したという。

一つ目の国籍法違反として挙げられている事実は、蓮舫氏が22歳までに国籍を選択する義務があったにもかかわらず、その義務を怠ったというもの。しかし、国籍法には、重国籍者の国籍選択義務が定められているが(14条)、これに違反しても罰則はない。

国籍法違反で処罰の対象となるのは、認知された子の国籍の取得(3条1項)の際に虚偽の届け出をした場合に限られる(20条)。蓮舫氏は10月7日に国籍選択の宣言を届け出たことを明らかにしており、それまで国籍法14条に違反した状態であったとの評価は免れないとしても、その事実をもって刑事「処罰」を求める「告発」はできない。

二つ目の公職選挙法違反として挙げられている事実は、蓮舫氏が2004年7月の参議院選挙に立候補した際、選挙公報に「1985年、台湾籍から帰化」と記載した行為が、公職選挙法の虚偽事項公表罪(235条1項)に当たるというものだ(注:産経新聞は元号表記なので、「16年」=「平成16(2004)年」を意味する)。しかし、この罪の法定刑は「2年以下の禁錮又は30万円以下の罰金」であるから、時効は3年である(刑事訴訟法250条2項6号)。

時効の起算点は「犯罪行為が終わった時」であり、このケースで「選挙公報」記載行為が開票日まで継続していたと考えても、2004年7月11日ごろから起算されることになる。したがって、時効が成立していることになる。犯人や共犯者が国外にいた場合はその期間時効は停止するが、ずっと参議院議員である蓮舫氏や共犯者が9年以上海外にいたということはなかろう。

つつく