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(イメージです。)


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:2016/11/01(火) 22:19:58.50 ID:
高橋洋一(嘉悦大学教授)

 韓国経済では、財閥が大きなウエイトを占めている。ただし、しばしばテレビなどで「10大財閥が韓国のGDPの70%を占める」と言われるが、これは事実でない。

 10大財閥の総売り上げを韓国のGDPと比較して70%というが、この言い方はちょっと恥ずかしい。比較する場合は同じ概念にすべきだが、GDPは売り上げから労働対価、原材料対価などを除いた付加価値であるからだ。マスコミは、数字があるとその意味をわからずに使うが、「10大財閥が韓国のGDPの70%を占める」はその典型である。そして、テレビコメンテーターにこうした言い方をする人はまず経済に無知であると思ったほうがいい。ちなみに、付加価値は売上高の2~3割程度であるので、「10大財閥が韓国のGDPの2割程度を占める」と言ったほうが適切だ。

 それでも、財閥が韓国経済で中心的な役割であるのは間違いない。昨年1月のナッツ・リターンによる韓進への非難に続き、ロッテ、サムスンと不祥事が続き、財閥への信頼が揺らいでいる。

 韓進海運は8月末に経営破綻し、同海運が保有するコンテナ船は、荷降ろしに関する不払いを恐れられ世界各地で入港を拒否されている。

 ロッテについては、昨年創業家の長男・重光宏之氏と次男・昭夫氏の一族による経営権争いで世間を賑わせたが、今度は巨額な裏金作りの疑惑で創業者父子が在宅起訴されてしまった。

 ロッテの件は韓国での日本叩きの巻き添えを食ったのかもしれないが、サムソン事件は驚いた。

 しばしば筆者は飛行機を使って出張するが、機内アナウンスで「ギャラクシーノート7」は使えませんと、商品名を出して警告されるので、そのマイナスイメージは計り知れない。

 サムソンの「ギャラクシーノート7」に限らず、携帯電話、ノートパソコンなどには、リチウムイオンバッテリーが使われている。この電池は高性能であるが、取扱はけっこうシビアである。

 筆者はアップルのiPhoneを使っていた。ただ、実際に1年以上使っていると、電池がへたって持ちが悪くなってくる。アップルでは勝手に携帯内部を開けさせないように特殊ねじを使っており、そうした場合、アップルに頼んで電池交換してもらう仕組みだ。

 ところが、筆者は時計いじりマニアなので、iPhoneの電池交換は自分でやっていた。電池そのものやiPhoneを分解する工具もインターネットで入手可能であるからだ。自分でやった方が、早くできるし、コストも圧倒的に安い。

 これまで、iPhoneでは何回も電池交換してきたが、先日ついに失敗してしまった。リチウムイオンバッテリーを取り外す際、力を入れたらバッテリーを覆う膜が少し破けてそこからバッテリーが発火し、筆者のiPhoneは燃えてしまった。

 こうしたリチウムイオンバッテリーの危険性は以前から知られており、各企業でその安全対策は何重にも施されている。しかし、サムソンで対策出来ていなかったのは、窮地で余裕がなかったという意味でかなり深刻な事態である。

 サムソンは、韓国財閥の中でも資産規模でトップである。しかも、資産規模2位の現代自動車でも、中型セダンの「ソナタ」が米国でエンジン欠陥の指摘を受け、リコールになったことがある。

 さて、財閥に依存している韓国経済であるが、以前から言われていたこととして、韓国経済の「サンドイッチ現象」がある。「価格では中国に勝てず、技術では日本に勝てない」。つまり、価格で中国に攻められ、技術で日本から攻められてサンドイッチになるというわけだ。

 ところが、小泉政権では不十分ながら金融緩和を行ったので円が多くなり、その結果円は他通貨に対して相対的に増え円安になったが、福田政権以降、日銀は金融引き締めに転じ、円高傾向になった。それを加速させたのが、民主党政権である。

 そのため、韓国ウォンは日本円に対してウォン安になった。これは、日本製品と比べて技術はイマイチであっても価格競争力が優位になった。技術差は価格差に勝てない。多少の技術差は一般人にはあまりわからないからだ。その結果、スマートフォンや家電製品の世界市場において、韓国製品が日本製品を凌駕するようになった。
 
>>2以降に続く)