1:2016/10/23(日) 20:08:39.95 ID:
今回ご紹介するBloomberg記事のタイトルは「韓国の大宇造船海洋が、大赤字により従業員の24%を首切り」です。しかしその実態は単なるリストラではなく、同社はもはや回復不能の大赤字を抱えているようです。

世界第2位の韓国造船会社「大宇造船海洋」大リストラの裏側

報道のポイント


世界第2位の造船会社、韓国の大宇造船海洋(Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering)は、従業員の24%に相当する3000人を解雇する予定と発表した。

社内電子メールによれば、10月21日までに自主退職者を募るとのことだ。

大宇造船海洋は、2016年6月末現在の総従業員数が1万2699人。契約社員を含めると約4万人を雇用している大企業。

世界3大造船会社と言えば、韓国の大宇造船海洋、現代重工業、そして三星重工業であるが、現在これらすべてがリストラ解雇、資産売却を進めている。

同社の予想では、今回の希望退職者募集で約1000名の自主的退職者が出ると見ている。また約2000名を新会社へ移すと発表しているが、その詳細は不明である。

大宇造船海洋は2016年初頭に、5基保有している浮きドックのうち2基を売却しており、さらに給与カットも実施していた。

同社は韓国開発銀行、韓国輸出入銀行が最大の出資者であり、昨年10月に3.7B$を出資している。同社の最大株主は韓国開発銀行である。

回復不可能の大赤字?

報道されている情報だけではどうも背景が良く分からないので、さらに踏み込んで事業実績を紹介します。大宇造船海洋の過去の決算書をチェックしたところ、極めて厳しい状況が浮かび上がってきました。

大宇造船海洋の悲惨な実態

(ア)同社の売上高(青色棒グラフ)、売上原価(茶色棒グラフ)です。
2012年までは営業利益が出ていたのですが、2013年からは営業損失に変りました。問題は、2015年の営業損失が前年度の4倍のマイナス3079.4Bウォンと大きくなっている事です。
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(イ)純利益の変化です。
2012年までは純利益(黒色棒グラフ)でしたが、2013年からは損失(赤色棒グラフ)となります。2015年はマイナス3537Bウォンと前年の4倍の損失です。2013年から2015年まで3年間の損失は5040Bウォンでした。これに対して、2007年から2012年まで6年間の純利益合計は3704Bウォン。すなわち、過去6年間の純利益でも穴埋めできない規模なのです。
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興味深いのは、2010年の企業紹介プレゼンテーションを最後に、投資家用プレゼンテーションが発行されなくなったことです。その最後のプレゼンテーションの一部を紹介します。

(ウ)2009年時点の新規受注金額ですが、すでに2007年がピークでした。
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(エ)2009年時点での受注残の金額ですが、すでに2008年がピークだったようです。
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将来は韓国開発銀行経由の国営企業になるのでしょうか?他の韓国2大造船会社も同じような状況でしょう。
 
『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』(2016年10月19日号)より一部抜粋、再構成
http://www.mag2.com/p/money/25010