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韓国・朴大統領(YONHAP NEWS/アフロ)

 幼児・青少年の「潜伏感染者」約1万人――。これは9月23日、韓国の保健当局が公表した結核感染者に関する調査結果だ。調査対象は、保育園、幼稚園、小学校、中学校の幼児・児童・生徒・教職員ら。このうち2013~15年にかけて感染者と接触した可能性のある18万3427人を調べたところ、結核患者1249人、潜伏感染者1万347人と判明した。

 参考までに「厚生労働省 平成26年結核登録者情報調査年報集計結果(概況)」によれば、日本の0~19歳の潜在性結核感染症(感染したが発症していない状態)新登録患者数は、12~14年の3年合計で3130人。日本も結核は欧米に比べて罹患率が高く、最近も千葉や愛媛で集団感染が相次ぐ。だが、それでも10万人あたり罹患者数は、日本18人に対して韓国は86人という高水準だ(WHO「世界結核報告書」より)。

コレラ、食中毒が相次いだ8月

 昨年はMERS(中東呼吸器症候群)の流行で世界中の注目を集めた韓国。MERSは同年12月にようやく終息宣言したものの、ここにきてまた結核やC型肝炎などの感染拡大がメディアを連日賑わせている。

 韓国で感染症といえば、8月から9月にかけてコレラ患者が出たのも記憶に新しい。4人のコレラ患者のうち1人は東南アジアで感染、残り3人は国内特定地域の海鮮料理が感染源と見られる。保健当局がコレラ発生の原因としたのは、109年ぶりといわれる今夏の猛暑。海水が高温化したことでコレラ菌が増殖したとの説明だ。

 さらに同時期には8月19日から順次夏休みを終えた中学・高校で、食中毒が多発。新学期開始から1週間のうちに、13校で1100人超の食中毒を疑われる患者が出た。当局はこれも想定外の猛暑が原因としている。

再燃したC型肝炎問題

 だが市民の不安が払拭されることはなかった。同じ8月下旬、今度は昨年から世間を賑わせていたC型肝炎問題が再浮上したからだ。保健当局は同月22日、ソウル市内の小規模なクリニックでC型肝炎の集団感染があったと発表。確認された感染者は508人に上った。

 C型肝炎は昨年11月、ソウル市内のクリニックで97人の感染が判明。続いて今年2月にも韓国東北部・江原道原州の整形外科医院で217人の集団感染が報告されている。3件目の報告に市民は「またか」とうんざりしたが、悪いニュースはまだ続いた。9月2日に地方の大学病院で3人の院内感染が判明。また、5日にはがん検診機関に指定されたクリニック3288カ所のうち、約10分の1の330カ所で内視鏡の消毒・洗浄不備があったと報じられた。不衛生な内視鏡は、いうまでもなく院内感染の元凶だ。

ずさんな衛生管理と経営難のクリニック

 一連の事態に対して、韓国メディアでは「発展途上国型感染症」のフレーズが飛び交っている。過去20年ほどでITインフラなど先端分野は高度に発達したものの、医療・衛生面ではまだまだ遅れているという自戒を込めた表現だ。

 短期間で急激な経済発展を遂げた韓国は、まだ社会のあちこちにその歪みが残る。例えばMERS騒動でも明らかになったように、医療機関のずさんな衛生管理体制が日本の医療関係者を驚かせることは少なくない。現地保健当局の関係者もC型肝炎に関するインタビューで、衛生管理に関する教育不足を指摘していた。

 いっぽうで小規模なクリニックの経営問題も要因のひとつだ。C型肝炎が集団感染する主な理由に挙げられるのが、使い捨て注射器の使い回し。1つ数円~数十円程度の注射器を惜しんで再利用しているわけだ。また、最近になって「カクテル注射」がブームとなったことも、不適切な注射措置に拍車をかけた。

 こうした現象の背景には、現行の診療報酬制度で小規模クリニックの多くが経営に苦しんでいるという事情がある。ビタミンや生薬成分を調合して投与する「カクテル注射」は、韓国でも医療保険の対象外。経営に苦しむクリニックは保険対象外のサービスに躍起となっており、「カクテル注射」も美容効果などを盛大にアピールしてきた。その結果、衛生管理の不十分なクリニックでの安易な注射措置が急増した。

http://biz-journal.jp/2016/10/post_16973.html

>>2以降に続く)