day-1295103_640.png 
(イメージです。)


1
:2016/09/25(日) 07:26:20.48 ID:
 韓国の現代自動車の賃金交渉が先月末に決裂したが、その過程は外部の視線を全く意に介さない労使の「伝統」をあらためて示した。同社労使の暫定合意案は5万8000ウォン(約5400円)の賃上げ、成果給および激励金として基本給の350%プラス350万ウォン(約32万円)、1株13万ウォン(約1万2000円)に上る株式10株を支給するというものだった。労働組合員1人当たり平均1800万ウォン(約170万円)の給料上乗せになり、これはほぼ非正規雇用者の年収に相当する。14回の時限ストの末にたどりついたこの暫定案を、現代自の組合員は78%という圧倒的反対で否決した。すでに9700万ウォン(約900万円)の年収をもらっている組合員たちが、賃上げ幅が小さいと不満を爆発させると、労組の委員長は「組合員の気持ちをきちんと汲み取ることができず、申し訳ない」と頭を下げた。

 現代自労使の団体協約に、下請け、孫請け会社の納品単価と利益、そこで働く労働者に対する配慮は全く見られない。作業服と特別メニューの食事の単価を上げるという合意は入っているが、若者の新規採用余力を生むための賃金ピーク制(雇用を保障する代わりに一定の年齢以降は賃金を引き下げる制度)拡大は抜け落ちている。ただ、給料を少しでも多くもらうための労組の闘争と、これをなだめるための会社側の談合的な妥協があるだけだ。

 現代自労組のストは、労使が賃上げ案にサインする前に行う「儀式」に近い。この5年間、同社労組は毎年ストを実施し、ストの後に毎年同じような水準の賃上げ案に労使がサインするのが慣例になっている。今年も、過去2年に比べ賃上げ幅が小さいとの理由で少しこじれただけで、同じプロセスを踏んでいる。
 
 現代自の労組は「自分が一生懸命働いて高い給料をもらうのが、なぜ悪いのか」という資本主義の報奨論理を掲げるかもしれない。だが、労組員が受け取る高い給料は生産性とはさほど関連がない。同じ自動車1台を製造するのにかかる時間は、同社の米アラバマ工場は14.7時間だが、韓国国内の同社工場では26.8時間だ。生産性はほぼ半分にすぎないのに、給料は韓国の労組員の方が2割ほど多い。ライバル企業の独フォルクスワーゲン(VW)や日本のトヨタ自動車と比べても、給料はより高く、生産性は劣っている。

 組合員が享受する高賃金という待遇は、現代自という自動車業界の需要独占企業に入社したためであり、その裏には下請けメーカーやほかの労働者たちの犠牲がある。労組がストで会社側に圧力をかけ、大幅な賃上げを勝ち取れば、会社側は納品単価の引き下げで下請けメーカーを疲弊させる。現代自の組合員が600万ウォン(約56万円)の月給を受け取るとき、下請けの社員は300万ウォン(約28万円)、その下の孫請けなどの社員は190万ウォン(約18万円)しかもらえない。ほかの業種も同様で、大企業の賃金が平均100万ウォン(約9万円)上がっても、下請け会社はわずか6700ウォン(約620円)程度しか上がらない。

 現代自の労使は、企業ごとの組合体制を維持しながらも下請けとの協議を通じて賃金など労働条件の格差を縮めようとしているトヨタを見習うべきだ。正社員の組合員を保護するため便利に利用していた社内下請けという「緩衝地帯」が非正規雇用者の激しい抵抗の中で崩壊したことを、現代自は忘れてはならない。貴族労組がこの先もほかの労働者との協調に向かわず、需要独占企業が産業生態系を守ろうとしなければ、また別の抵抗を招き、結局は自ら基盤を崩壊させてしまうだろう。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/09/23/2016092301783.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/09/23/2016092301783_2.html
 
MIZUHO no KUNI 関連記事
【韓国経済】「受注の崖」でも賃上げ要求する現代重工業の労組(2016/09/21) 
 
=管理人補足=
ソース元記事タイトル:【コラム】170万円の賃上げにも不満、欲深い現代自労組