1:2016/09/14(水) 05:39:00.47 ID:
 フィリピンのドゥテルテ大統領は13日、中国やロシアから軍備面での支援を受けることで合意したと表明した。同大統領の強硬な麻薬取り締まり手法をめぐり米国と対立する中、フィリピンが中国に歩み寄れば、中国による南シナ海での領有権主張に法的根拠がないとした7月の仲裁裁判所の判決で得た優位性をみすみす手放し、南シナ海情勢は一変しかねない。

 ドゥテルテ大統領はマニラでの演説で、ロシアと中国がフィリピンに対し兵器調達のための資金を最長25年間、低利で貸し付けることで合意し、ロレンザーナ国防相と軍事専門家に中露を訪問して最良の選択肢を探るよう指示したと明らかにした。

 反政府グループやミンダナオ島のテロリストと戦うにはプロペラ機が必要だと説明。「外国と戦うつもりはないので、ジェット機や(米国製の)F16戦闘機は必要としない」と述べた。

 ドゥテルテ大統領は12日、南部ミンダナオ島に常駐するとされる米軍特殊部隊の退去を求めるなど、米比間のムードは悪化。フィリピンが親中路線に転換しようとしているとの観測も浮上していた。

 ドゥテルテ大統領は先週、大統領就任後初の外遊で、ラオスでの東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に出席し、インドネシアを訪問した。

 波乱の予兆は、同大統領がフィリピンを離れる前からあった。同大統領は記者団に対し、6月末から約3000人の容疑者が殺害された麻薬戦争について、オバマ米大統領が疑問を呈するようなら「その場でののしってやる」と発言。「オバマなど目じゃない。フィリピンは米国の植民地でなくなってからずいぶんたつ」と息巻いた。

 しかしオバマ大統領がその後に予定されていた1対1の会談を最終的にキャンセルしたとき、ドゥテルテ大統領からいつもの強気な態度は消え、6日に、強気な言葉が個人攻撃と受け取られたことを残念に思うとの声明を発表。両国は後日に首脳会談を行うことで合意した。

 これを受け7日にフィリピン市場の株価は1.3%下落。海外投資家は約1年間で最大の資金を同国から引き揚げた。

 ドゥテルテ氏は、軍事的な同盟国である米国から離れ、長年の領海問題にもかかわらず、主要な貿易相手国である中国に近づこうとしているとみられていた。同氏は東アジアサミットで植民地時代に米軍が行った殺人を非難する一方、中国には「フィリピンに寛大だ」として謝意を表明した。

 オーストラリア戦略政策研究所のシニアアナリスト、マルコム・デービス氏は「米国とASEANにとって危険な状況だ。フィリピンと同国の行く末についてわれわれが理解していることから判断するとドゥテルテ氏は常に不確実性と不安定感を生み出す存在となる」と述べた。

(ブルームバーグ David Tweed、Norman P.Aquino)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/160914/mcb1609140500005-n1.htm
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/160914/mcb1609140500005-n2.htm
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ラオスで開かれたASEANプラス3首脳会議で中国の李克強首相(左)と言葉を交わすドゥテルテ比大統領。フィリピンが中国に歩み寄ることになれば東南アジア情勢は一変する=7日(AP)