1:2016/09/05(月) 13:21:58.08 ID:
 今年末に国連事務総長の任期を終え、来年12月の次期韓国大統領選の有力候補として呼び声が高い潘基文(バンキムン)氏(72)は、出身地である忠清北道陰城(ウムソン)郡の生家が復元されて記念館が設けられるなど一帯が既に「観光地」化されている。潘氏に次期大統領選への意欲があると報じられた5月以降、来場者が急増していると聞いて訪ねると、驚くような光景が広がっていた。 (ソウル曽山茂志)

 ●郡全体が潘一色に

 ソウルから東南へ約100キロ。バスで約1時間半かけて陰城バスターミナルに到着。さらに約6キロ先の目的地に向かうために乗り込んだタクシーの運転手(81)の名前も潘さんだった。潘氏の遠い親戚という運転手は、正面の山を指さして「あの山に潘一族の墓がある。彼のおかげで潘家もこの辺りも有名になった」と遠来の客に胸を張った。

 潘氏が国連事務総長に就任した翌年の2008年に整備された「潘基文路」を走ると、すぐに世界各国の国旗が並ぶ国連本部(米ニューヨーク)を模した広場も見えてきた。「生家村」と呼ばれる一帯だけでなく、陰城郡全体が「潘基文」に染まっていた。

 ●郡が16億円で整備

 生家村は、深い緑に包まれた普徳山の麓。湧き水でできた池のほとりにあった。住民が100人程度しかいない静かな集落の一角に、潘氏が国連事務総長に再選された12年、陰城郡が約180億ウォン(約16億円)かけて整備した。

 生家村にも国連をイメージした平和公園があり、その近くに潘氏が5歳まで過ごした生家が復元され、記念館もある。平和公園の大きな壁面では潘氏の写真とともに、経歴を紹介。土壁とわらぶき屋根の粗末な生家は2間しかなく、その一つに「潘氏生誕の部屋」と案内板が掲げられていた。

 「世界平和の大統領」「静かで強靱(きょうじん)な精神力」-。記念館は、潘氏の経歴を映像や写真で紹介するコーナーのほか、手形や国連グッズなどがところ狭しと展示されていた。大田から夫婦で初めて訪れた金周星(キムジュソン)さん(45)は「潘氏は韓国人の誇り。国連の次は、韓国でリーダーシップを発揮してほしい」と期待を寄せた。

 ●「待望論」の一方で
 
 韓国人初の国連事務総長である潘氏に対する人気は高く、世論調査でも韓国の次期大統領候補としてトップの支持率を続けている。潘氏は立場上、これまでコメントを避けてきたが、今年5月に韓国で「国民の期待を念頭に置く」と発言。これが「立候補に意欲あり」と受け止められ、300人程度だった生家村の週末の客足も倍増したという。

 だが、親戚で幼なじみという潘基宗(バンキジョン)さん(76)は「大統領選に挑戦してもいいが、簡単ではないでしょう」と語る。潘氏が立候補する場合、朴槿恵(パククネ)大統領の後継として、与党セヌリ党から出るとの見方が多い。4月の総選挙で大敗した与党から出ても苦戦必至。仮に当選しても厳しい国会運営が待ち構える。

 「ここまで頑張ったのに、何も韓国で政治の『泥水』を飲まなくてもいいよ」。帰路、タクシー運転手の潘さんがつぶやいた。故郷では、既に「聖人君子」の域に達している潘氏。強まる大統領待望論の一方で、地元の複雑な思いも垣間見えた。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/article/272385
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万国旗が並ぶ生家村の平和公園
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復元された潘基文氏の生家
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平和公園の壁には、潘基文氏の写真と経歴が大きく紹介されている。既に「聖人君子」の域だ
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記念館には、平日にもかかわらず親子連れなどが足を運んでいた