1:2016/09/01(木) 17:20:23.00 ID:
 韓国では昔から、警察官とは「悪い人」の代名詞のような存在だった。それは、現在も基本的に変わらない。警察、検察、情報当局の人事を総括する大統領府の民情首席秘書官は、巨額の金銭スキャンダルに塗(まみ)れながら、朴槿恵(パク・クネ)大統領の庇護を受けて居座っている。その民情首席の裁可を経た警察庁の新長官(58)も、また“すごい経歴”の持ち主だ。

 もう23年も前のことだが、彼は飲酒運転をしていて事故を起こした。衝突された車は全損だったというから、大きな事故だ。休日に、転勤する警察官と昼食をともにした後、帰宅途中だったそうで、血中アルコール濃度は0・09%。当時の韓国の法令でも免許停止処分だ。彼は罰金100万ウォン(約9万円)を支払い一件落着したことになっていた。

 ところが、新長官として名前が挙がるや、“その時のこと”が明るみに出た。内部からのチクリとしか考えられない。彼は事故を起こした際、警察官であることを隠し通し、警察内部の処分を免れていたのだ。

 別の疑惑も出てきた。

 彼は2005年、妻の名義で、江原道(カンウォンド)のオウォン貯水池の畔(ほとり)の土地531平方メートルを購入し、2階建ての別荘(182平方メートル)を新築した。当時の職位は定かでないが、いずれにせよ韓国の公務員給与からしたら、自宅のローン払いに追われている年齢だ。

 しかし、資金の出所を問う声は出なかった。平の巡査だって金持ちなのだ。キャリア警察官なら、もっと「いろいろある」から、そのぐらいの資金があるのは当然と、野党の議員も思ったのだろう。「いろいろある」の中身をほじくったら、野党の議員もほとんどアウトなのだから。

 問題にされたのは、国道が通るとの情報を得た上での投機目的ではなかったのか、という点だけだった。彼は「退任後の住居目的で購入した」と述べ、逃げ切った。

 それにしても、韓国の警察官10万人のトップに、何故に、こんな“すごい経歴”の持ち主が選ばれたのだろうか。警察庁長官(=階級は治安総監)は、6人いる治安正監の中から選ぶしかない。ハンギョレ新聞(8月24日)が匿名の警察幹部の話を、次のように伝えている。

 「大統領府が、飲酒運転交通事故の身分隠蔽事実を知っていながら指名したのは、代案がなかったためかもしれない。他の人を候補者に選択すれば、さらに大きな恥をかくからではないか」

 31年前、治安正監の1人と昼食をしたことがある。東京・中野の警察学校で学んだという人物だ。「なぜ韓国の警察は、こんなに腐敗しているのか」と、私はずばり尋ねた。

 彼は怒らなかった。「これでも随分と良くなったのです。私1人が清廉を貫いたら、たちまち警察から追い出されてしまうだけです。だから節度をもって臨み、部下を諭し、百年河清を俟(ま)つ心で…」

 彼は「日本人記者にごちそうになるだけでは心苦しいから」と、小さな花瓶をプレゼントしてくれた。

 韓国の警察にも立派な人物はいると思ったが、あと70年ほどで川は澄むのだろうか。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。
 
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160901/frn1609011140001-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160901/frn1609011140001-n2.htm
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ソウルにある韓国警察庁庁舎
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朴大統領(共同)