韓国 
(イメージです。)


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:2016/08/09(火) 20:19:07.54 ID:
地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の在韓米軍への配備を巡り、しのぎを削った米中。果たして中国は「負けた」のか。

◆結局は中国の属国に戻る

--中国は歯ぎしりしているでしょうね。韓国がTHAADの配備を認めました。これで「離米従中」に歯止めがかかるでしょうから。

鈴置:初めはそう見えました。韓国の親米保守の人々も胸をなでおろしました。前々回の見出し通り「中国陣営入り寸前で踏みとどまった」からです。でも、その後の展開を観察すると、話はそんなに簡単ではありません。

--配備が容易に進みそうにないからですか。

鈴置:それもあります。加えてこれを機に、むしろ韓国が中国側により傾く気配が出てきました。「結局は中国の属国に戻るのだ」と自嘲する親米派の識者もいます。

THAAD配備への容認を理由に、中国が報復を露骨に匂わせた。すると、それに怯えた韓国が、ますます中国の顔色を見るようになったのです。

つまり、中国は「THAAD」を逆手に取って韓国をコントロール--金縛りにし始めたのです。典型的なのが「南シナ海」問題です。

◆「法的に拘束」VS「留意」

THAAD配備決定の発表が7月8日。4日後の7月12日にオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が、中国が主張する「南シナ海の主権」には国際法上の根拠が全くないとの仲裁判断--判決を下しました。

フィリピンが提訴した裁判です。周辺国の非難を無視し南シナ海を軍事拠点化してきた中国にとって、極めて不利な判決でした。

日米両国政府は直ちに「紛争当事国は判決に法的に拘束される」と指摘し、中国に受け入れを求めました。しかし韓国政府は翌13日になってようやく「平和的な解決を求める」との曖昧な外交部報道官談話を出してお茶を濁したのです。

判決に関しても「留意する」との表現に留めました。日米の「法的に有効である」との立場とはかけ離れています。「判決に拘束力はない」と言い張る中国の意に沿ったのです。

◆「中立」で中国のご機嫌取り

--「南シナ海」は「THAAD」とどう関係するのでしょうか。

鈴置:中央日報が本音を書いています。「あす『南シナ海判決』…もう一度試される『米中等距離外交』」(7月11日、日本語版)です。ポイントを引用します。

・南シナ海問題に詳しい外交当局者は10日「仲裁裁判所の判決結果に関係なく、南シナ海紛争に関する政府の従来の立場に変化はない」と述べた。
 
・この当局者は「米国はやや不満かもしれないが、THAADを配備すると発表した後、韓中関係が急速に悪化している状況で米国の立場を後押しするのは難しい。米国もこうした点を了解するだろう」と述べた。

要は「THAAD配備決定で中国との関係が悪化した。それを言い訳にして南シナ海問題では米国側に立たない」ということです。

それどころか、南シナ海問題を利用して中国の怒りを解こうと韓国政府は考えたようです。記事は以下のように続きます。
 
・政府は、仲裁裁判所がフィリピンに友好的な判決を出す場合「韓国政府の中立的な立場」が今後の対中関係にプラスの影響を及ぼすと期待する雰囲気だ。中国政府が「判決自体を認めることも従うこともない」として強い拒否感を見せてきたからだ。

--なるほど「中立を打ち出して中国のご機嫌を取る」作戦ですね。

鈴置:そんな見え透いたご機嫌取りに中国が騙されるとも思えません。が、韓国は中国の報復がとにかく怖い。そこで、THAAD以外の問題で中国の意向に沿うことに全力を挙げ始めたのです。

日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/080500061/?rt=nocnt
 
つづく
 
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【鈴置高史】「中国陣営入り」寸前で踏みとどまった韓国 THAAD配備巡り米中代理戦争(2016/07/22) 

上記を含む鈴置氏の記事はこちらから↓どうぞ
http://mizuhonokuni2ch.com/?tag=%E9%88%B4%E7%BD%AE%E9%AB%98%E5%8F%B2