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お誕生日に先立ち記者会見に臨まれる天皇陛下=2015年12月18日、皇居・宮殿「石橋の間」(代表撮影)

 天皇陛下の生前退位問題は韓国でも関心が持たれていて、メディアは比較的熱心に日本の動静を伝えている。背景には陛下を平和愛好家の“護憲派”と位置付け、からめ手でいつもの安倍政権批判につなげようという魂胆がある。

 その代表例は東亜日報(7月25日付)の東京特派員コラムで、天皇陛下護憲派説を紹介するとともに「日王は朝日新聞の愛読者といわれてもいる。どうみても日本の保守右傾化の流れとは距離が遠い人だ」と書いている。

 東亜日報は朝日新聞とは緊密な提携関係にあるが、陛下が朝日新聞の愛読者とは! ここまで書かれたのでは陛下もご迷惑だろう。こういうのを日本では「ひいきの引き倒し」という。

 それに、そんな陛下に対し相変わらず「日王」と書いている。なぜ、国際的常識にしたがい「天皇」と書かないのだろう。「日王」などという不思議な呼称を使っているのは、世界でも韓国のメディアしかない。

 退位問題報道を機にこの「日王」に珍しく疑問を提起した報道があった。東亜日報のライバル紙の朝鮮日報でこちらも東京特派員コラム。退位問題の記事を書きながら「天皇と書くべきか日王と書くべきか」しばし手が止まったが、結局は「日王」と書いたという。

 それでも韓国政府は正式呼称として「天皇」を使い、中国や台湾など漢字圏を含め諸外国も「天皇(英語ではエンペラー)」と表記しているという事実を紹介。「日王を日王と呼んだからといってわれわれが強くはならない。同じく天皇と呼んだからといってわれわれが低くなるものでもない」という。

 正論である。朝鮮日報が先頭に立って韓国のメディアの国際的非常識をぜひただしてほしいものだ。

 韓国が「天皇」に拒否感を示してきたのは、東アジアの中華圏では「皇帝」は中国のみに存在し、他の国の王はその下に存在するという、19世紀以前の“華夷秩序”意識に由来する。つまり日本が「皇」を使うのがシャクにさわるのだ。

 国際情勢も変わり、今や中国だって何も気にしていないのに、韓国だけがこだわっているのだから切ない。このこだわりが国際的には逆に韓国の品格を下げ、日本ではひんしゅくを買っているという現実に、朝鮮日報東京特派員はやっと気付いたようだ。

 韓国メディアも以前は「日皇」が多かった。韓国の抗日愛国者の代表格である金九の自伝『白凡逸志』でも「日皇」だ。これも「天」を省略した格下げの意味があったが、さらに格下げのつもりが「日王」で、これが一般化したのは1990年代以降ではなかったか。

 東亜日報は98年10月8日付「社告」で、いったんは外交慣例にしたがってその国の呼称にしたがうと「天皇」にしながら、2004年10月3日付で「国王」「日王」に改めると発表し、後退している。

 そもそも漢字を知らない現代韓国人に「ファン(皇)」と「ワン(王)」の見分け、聞き分けなどできないし、違いも分からない。正式に「チョンファン(天皇)」を使っても日本の“元首”の固有の呼称だといえば済む話なのだ。

 国際的には「プレジデント」である中国、北朝鮮の「主席」や台湾の「総統」を韓国のメディアは自分流に「大統領」とはいわずそのまま使っているのに、天皇だけは勝手に日王などといっている。国際的非礼以外の何ものでもない。

(ソウル駐在客員論説委員・黒田勝弘)
http://www.sankei.com/world/news/160806/wor1608060037-n1.html