韓国 
(イメージです。)

1
:2016/05/14(土) 13:23:42.52 ID:
これといった業績が見当たらない朴槿恵(パク・クネ)政権について、韓国政界ではこんな皮肉な評があった。「いや、すでに立派な業績があるではないか。彼女が大統領になったこと自体が最大の業績だよ」と。

つまり2012年の大統領選で与党の李明博(イ・ミョンバク)政権の後、野党に政権を渡さなかったことをいっているのだが、朴槿恵大統領にとっては嫌みなブラック・ユーモアだ。

ところが、最近また「残りの任期中にもう1つ業績を上げるチャンスがある」という声が聞かれる。来年12月の大統領選で野党に政権を渡さなければそれが大きな業績になるというわけだ。

これは「あと1年半、ガンバレ!」という保守派サイドからの悲鳴に近い激励のエールでもあるが。

4月の総選挙で与党惨敗の後、韓国政治は“次”に向けて動き出している。選挙結果で見る限り、野党支持が与党支持を上回っており、このままだと流れは野党政権誕生である。朴大統領としては実につらい状況だ。

韓国政治は1980年代後半、民主化で大統領選が国民の直接投票になって以来、10年ごとに政権が与野党(または保革)で交代するという歴史を繰り返してきた。

保守与党の盧泰愚(ノ・テウ)、金泳三(キム・ヨンサム)に始まり、次の金大中(デジュン)・盧武鉉(ムヒョン)は革新野党。次は保守与党の李明博、朴槿恵となった。

大統領任期は1期5年だけだが実質的な与野党交代は2期10年というわけだ。この10年サイクルでいえば、次は革新系野党政権ということになるが、やはり10年もたてば国民は変化を期待するということだろうか。

総選挙後、政界では次の政権展望がささやかれ始めている。その中で興味深いのが与野党連立政権論だ。とくに与党(保守派)が苦境に立たされたため保守派の間で出ている。

総選挙の結果、与党セヌリ党は過半数が取れず、野党陣営も従来の「共に民主党」と新党「国民の党」に割れ、「国民の党」が意外に票を伸ばした。保守票が流れた結果という。そこでセヌリ党と「国民の党」が連立し、次期を狙ってはどうかというのだ。

政界筋は「日本だって自民党危機の時に自社連立政権があったでしょう」といい、韓国でも金泳三政権や金大中政権は与野党合併や保革連立で政権を握った歴史がある。

金大中政権の場合、野党闘士の金大中(新政治国民会議)が政敵だった保守バリバリの金鍾泌(ジョンピル)(自民連)を取り込んで大統領に当選している。

新・連立論で面白いのは新野党の「国民の党」が金大中氏の故郷であり伝統的に野党の牙城だった全羅道(チョルラド)地域で圧勝したことだ。

韓国政治は伝統的には与党・保守の慶尚(キョンサン)道と野党・革新の全羅道という東西対立が最大のガンになってきた。

そこで新・連立が成立すれば東西和解、地域統合という一大政治発展が実現する。これで次期政権へ移行となれば朴大統領としては過去、誰も実現できなかった偉大な業績(?)を韓国政治史に残すことになる…というわけだ。

では連立で次の大統領候補は誰か?これが難しい。「国民の党」の若手指導者、安哲秀(アン・チョルス)代表をかつぐのかそれとも与党サイドに待望論のある潘基文(パン・ギムン)国連事務総長に話をもっていくのか。

最大野党の「共に民主党」も虎視眈々(たんたん)だ。まだまだ序の口の頭の体操である。

産経新聞 2016.5.14  ソウル・黒田勝弘
http://www.sankei.com/world/news/160514/wor1605140026-n1.html