韓国 
(イメージです。)


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:2016/05/04(水) 08:09:39.95 ID:
産経新聞 久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ
http://www.sankei.com/premium/news/160504/prm1605040010-n1.html

朴槿恵政権の信任投票だった韓国総選挙。与党惨敗で選挙後の朴槿恵氏は批判の雨あられにさらされた。韓国メデイアは「大統領の独善」「傲慢」「不通(コミュニケーション不足)」をあげつらって痛烈な批評を展開。ついに朴氏は4月末、大統領府に韓国マスコミ幹部を大勢招いて「民意を踏まえて今後は意思疎通の努力を尽くす」と“自己批判”せざるを得なかった。残る任期は1年8カ月だ。この政権末期、朴政権は大衆迎合(ポピュリズム)に走る可能性が確実に高まった。

◆韓国世論はさらに左傾化する懸念

与党惨敗で韓国国会は小与野大となり、今後は“決められない政治”が続く。だが、政権のレームダック化よりさらに懸念されるのは次期大統領選への影響だ。韓国政界の関心事は一気に次期大統領選に移っている。政界に保守の影は薄く、世論は左傾化傾向が強まっている。

総選挙で第1党になった野党「共に民主党」は北朝鮮にシンパシーを持つ親北色が濃い。第2党の「国民の党」も対北対話派で革新陣営だ。こうした野党は、総選挙で得た民意を背景に保守陣営を攻撃すると予測される。その際のテーマは(1)日韓慰安婦合意(2)韓国歴史教科書問題-となりそうだ。いずれも朴政権が推進した成果で、野党が反対していた政治イシューだ。

2野党はいずれも日韓合意に反対で、破棄または再協議を求めている。左傾化していた教科書は朴槿恵政権が北朝鮮に厳しい内容に変更したが、親北色の強い野党側は猛反発していた。これを再度、改訂する可能性がある。

今回の総選挙は議席数だけでなく首都圏で野党が高い支持を獲得したのが特徴だった。さらに野党は伝統的な保守地盤の慶尚道でも善戦した。朴政権の最大の失政は、自らの失敗で韓国世論全体を結果的に野党支持に追いやり、左傾化させてしまったことなのだ。

次期大統領選は来年末で候補者が出そろうのは来夏だが、今後は候補者をめぐり政界再編や大物政治家の動きなどが活発化する。朴政権は次期大統領選へのエネルギーを野党陣営に与えてしまった。

与党は当面、責任の所在をめぐり混乱するだろう。次期大統領選の与党候補では、朴氏と近い潘基文・国連事務総長の名前が挙がっている。潘氏といえば中立的であるべき職にあって慰安婦問題などで反日的な発言が目立ち、中国の抗日戦勝記念日軍事パレードにも参列した人物。しかし与党は大統領候補を保守本流からではなく、潘氏のような“大衆受け”の人物で影響力保持を図る可能性も出ている。

◆どうなる慰安婦合意、未完の合意になる?

朴槿恵大統領は総選挙後、慰安婦問題の焦点のひとつ、慰安婦像の日本大使館前からの撤去について「慰安婦像の撤去が(日韓合意に)関係があるとかないとか言われているが、合意では言及もしていない」と述べ、早くも韓国世論に屈する姿勢をみせた。

日韓合意で慰安婦像の撤去については「適切に解決されるよう努力する」と謳ったに止めたが、交渉で日本側の強い要求があったのは周知事実で、民間団体を説得して韓国側が撤去または移転することが了解され合意が成立していた。

その見返りとして日本側は安倍首相の謝罪の言葉のなかに「軍の関与」という言葉まで入れた。「軍の関与」はアジア女性基金の首相名のおわびの手紙に使われた表現で、軍が衛生管理などを行った間接的関与を指しているが、間接的な部分を“中抜き”して「軍の関与」とした。この譲歩にはいまだに日本でも批判が強い。

しかし、こうした双方の妥協で成り立った日韓合意の履行は全く先行き不透明面になっている。まず、韓国世論の反発の強い慰安婦像撤去は事実上、難しくなっている。無理に動かそうとすれば、野党が猛反発して世論を煽るからだ。慰安婦像が撤去できなければ、合意の柱である慰安婦のための財団創設も困難になる。財団ができなければ日本は約束した10億円の拠出ができなくなる。

双方が約束を履行できないと、日韓合意は未完に終わる-とのシナリオも現実味を帯びている。未完となり韓国の次期政権に引き継がれたら、合意は白紙に戻るだろう。

続きます