1:2016/02/14(日) 19:58:45.62 ID:
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人件費が急騰している中国・深●(=土へんに川)の工場(ロイター)

 先月31日、米ウォールストリート・ジャーナル紙などは「ヘッジファンドやジョージ・ソロス氏ら著名投資家が人民元空売りを準備中」と報じた。一部のヘッジファンドで、1992年のソロス氏のよる「ポンド空売り」や97年の「アジア通貨危機」を、人民元で再現しようという動きがあるという。

 ソロス氏は米国の“最強投資家”だった。ポンドを売り続けて、イングランド銀行と戦い、「イングランド銀行を潰した男」の異名を持つ。かつては“中国オベンチャラ組”の1人だったが、ここにきて「人民元をショートする」「空売りに適している」と言い始め、習近平国家主席がムチャクチャ怒っているという。

 中国人民銀行は人民元の下落と資金流出を食い止めるためにドル売りをして、外貨準備高は減少した。現在1米ドル=6・5人民元前後だが、私は1米ドル=12人民元ぐらいが妥当ではないかと思う。現在の2倍だ。そのくらいにすると、現在のように人件費が急上昇しても、製造業などの競争力はある程度保たれるからだ。

 中国の人件費については、こんな報道もあった。2日の日経新聞によると、「景気の減速にもかかわらず、中国では賃金上昇が続いている」という。10の省や直轄市が1月までの4カ月間で、最低賃金を最大で3割引き上げた。労働力人口の減少で働き手が不足しているうえ、中央政府が国内の不満を抑えようと地方政府に賃上げを迫っていることが要因だという。

 確かに、10年前に比べて賃金は4倍になっている。地域によって差があるものの、同じようなカーブで急上昇している。最近、日本企業だけでなく中国企業も相次いで中国から東南アジアの低賃金国に移転しているが、中国の人件費上昇と為替が大きな要因だ。

 台湾企業が多かった広東省の東莞市や深●(=土へんに川)市などは「これではたまらない」ということで、次々に製造業の撤退が始まっている。シャープに7000億円の支援額を提示したことでも話題の台湾・鴻海精密工業も、主力の工場を深●(=土へんに川)市から四川省・成都市に移している。

 中央の北京政府も地方政府も、「人民を喜ばすためには賃金を上げるしかない」ということで、人為的に上げている。「だったら、為替のほうを自由化しろ」と言いたいが、人民は為替とあまり関係がないから、賃金が上がってぬか喜びする。

 そんなことをしている間に、製造業の競争力は落ちてしまう。このままでは、あと3年も経ったら中国に進出する企業はなくなるだろう。もうそのときは手遅れだ。

 ただ、中国の代わりとなる国があるのかという問題もある。広東省だけで1億人以上。それに対して、ミャンマーは5000万人程度。とてもじゃないが、受け皿にはなれない。人口だけなら、1億5000万人のバングラデシュがあるが、インフラがまったく整っていない。鴻海のように中国で100万人も雇用しているところは、そう簡単に代替生産地を見つけられないのだ。

 また、中国は腐敗がひどいと言われるが、進出した企業を巻き込むことは少ない。地元政府とデベロッパーなどが許認可を巡って裏で取引しているケースが多い。それに対して、ベトナムもミャンマーは進出した企業の認可で政治家や役人が直接贈賄を働きかけてくることが多い。

 そういう懸念も考慮しなければならない。中国は人件費を上げるなら為替をフロート(自由化)するしかないところまで追い込まれていると見るべきだ。

 ■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
 
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160214/dms1602140830004-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160214/dms1602140830004-n2.htm