朝日新聞社 
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:2015/12/29(火) 10:28:45.45 ID:
慰安婦問題の合意 歴史を越え日韓の前進を

2015年12月29日(火)付

 戦後70年であり、日本と韓国が国交正常化してから半世紀。そんな1年の終わりに、両政府は最大の懸案だった慰安婦問題で合意に達した。

 節目の年にふさわしい歴史的な日韓関係の進展である。両政府がわだかまりを越え、負の歴史を克服するための賢明な一歩を刻んだことを歓迎したい。

 きのうあった外相会談の後、岸田外相は慰安婦問題を「軍の関与のもと多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題」と定義し、「日本政府は責任を痛感している」と明言した。

 50年前の請求権協定で「法的には解決済み」とする日本政府はこれまで、国家責任を連想させる言葉遣いに消極的だった。今回はその原則を維持しつつ、率直な表現に踏み込んだ。

 安倍首相は日本の首相として元慰安婦に対し、「心からのおわびと反省」を表明した。

 かつて慰安婦問題をめぐる「河野談話」の見直しに言及したこともある安倍首相だが、岸田外相を通じてとはいえ、談話の核心部分を韓国で表明したことには大きな意味がある。

 ■日本政府の責任明言

 一方、韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相も日本政府に応えた。

 今回の合意について、「日本政府の措置の着実な実施」という前提つきながら、「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と言い切った。

 日本側から「韓国は約束してもゴールポストを動かす」と批判されていたことを意識したうえでの確約の表明である。

 両外相ともメディアを通じて両国民に固く誓ったのだ。合意をしっかり履行してほしい。

 韓国政府は、元慰安婦の名誉と尊厳を回復し、心の傷を癒やすための財団をつくり、そこに日本政府が約10億円を国家予算から拠出する。

 日本は90年代、国民の募金からなる「償い金」と、政府の資金による医療・福祉支援事業に首相の「おわびの手紙」を添えた「アジア女性基金」事業を始めた。東南アジアなどで成果を生んだが、韓国では反対の声が強まり、頓挫してしまった。

 韓国側で基金の意義が理解されなかった要因は、さまざまあった。日本政府が必ずしも積極的な姿勢で事業に臨まなかったことや、「償い金」に民間募金をあてたことなどで、韓国側は責任回避だとして反発した。

 両政府とともに、元慰安婦たちの支援者ら市民団体、メディアも含めて、当時の教訓を考えたい。

 新たに設けられる財団の運営のあり方については今後、詰められる。何より優先すべきは、存命者が50人を切ってしまった元慰安婦たちのそれぞれの気持ちをくむことだろう。

 韓国の支援団体は合意について「被害者や国民を裏切る外交的談合」と非難している。日本側からもナショナリズムにかられた不満の声がでかねない。

 だが今回の合意は、新たな日韓関係を築くうえで貴重な土台の一つとなる。日本政府は誠実に合意を履行し、韓国政府は真剣に国内での対話を強める以外に道はない。

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