1:2015/12/22(火) 18:55:03.66 ID:
 1990年代末のアジア通貨危機を経験した世代なら、マーク・ウォーカーという名前に聞き覚えがあるかもしれない。同氏は当時、韓国の対外債務返済繰り延べ交渉団の法律顧問を務め、韓国政府に自身のウォール街の人脈を紹介し、債務管理策をアドバイスした。そのおかげで、韓国は当時250億ドル(現在のレートで約3兆300億円、以下同じ)に達していた短期対外債務の返済を先延ばしすることができた。1998年2月、政府は同氏に修交勲章興仁章(2等級)を授与した。「経済国恥」を経験した私たちにとってはありがたい人だ。

 そのウォーカー氏が、17年ぶりに再び韓国を訪れた。今回は現代商船の経営立て直しを手助けするためだ。海運業は船主から船を借り、貨物を輸送して利益を得るが、不況のあおりで運搬料が暴落し、現代商船が稼いだカネよりも船を借りるカネ(用船料)の方が年間2000億ウォン(約206億円)以上も多くなったという。ウォーカー氏は同社の再建に向け、債権団の産業銀行に債務の帳消しを要請し、海外の船主とは用船料の引き下げ交渉を行っているようだ。

 だが、肝心の産業銀行が全く動こうとしないという。巨額の赤字を出している大宇造船海洋にすでに7兆ウォン(約7200億円)近い支援を行っており、ほかの企業のことを考えるのさえ嫌な様子だ。政府も不振が際立つ海運業の構造調整問題を何度か大統領府(青瓦台)西別館会議(非公開の経済金融点検会議)で話し合ったが、結論を出せなかったとされる。このまま放置しておけない企業がありながら、誰もがぐずぐずしている。

 企画財政部(省に相当)は、来年の経済政策方向に「メード・イン・コリア」から「メード・バイ・コリア」への政策転換方針を盛り込もうとして、結局取りやめた。収益性が低下した企業を安価な労働力と工場が確保できる海外に進出させ、競争力を取り戻すというのがその趣旨だったが、「企業が去って雇用が減ったら誰が責任を取るのか」という反対意見に押されたのだ。

 20年前、日本では世界最高を誇っていた製造業の売り上げが落ち込み始めると、企業の生産拠点を海外に移転させようという意見が出た。だが、今の韓国と同じく「企業がなければ雇用もない」と産業空洞化を懸念する声が強まり、企業はそのまま国内にとどまった。そしてソニーやパナソニックなど世界最高の企業が二流に転落した。

 価格競争力が弱まった汎用品メーカーが世界最高の座を維持することはできない。キム・ジュフン韓国開発研究院(KDI)研究部長は「日本の『失われた20年』は製造業のせいだ」と指摘する。「本当に雇用を増やしたければ、製造業は海外に活路を見いださせ、製造企業が去った跡地に研究開発(R&D)やサービスなど高付加価値の企業を芽吹かせるべきだ」というのが持論だ。

 ここ数年で、韓国経済のスローガンは経済民主化、創造経済、財閥改革と変遷した。主張する人や観点は違っても、その根底にある問題意識は同じだ。すなわち、韓国企業の生態系をこのままにしていては、国の未来が危うくなりかねないということだ。政界、政府、金融業界で議論ばかりが盛んな今も、時間は流れている。

 過剰な悲観論を警戒し、通貨危機の時のような打撃を受けることはないと口にする専門家は多い。米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスも先ごろ、韓国国債の格付けを過去最高のランクに引き上げた。だが今、韓国が目前にしている不況は、過去のような一気に吹き寄せて去っていく「台風」ではなく、速度は遅くとも数年間とどまり続ける「梅雨」のようなものになるかもしれない。迫り来る危険を回避しなければ、行き着くのはどん底しかない。それが今、韓国企業をこのままにしておけない理由だ。

キム・テグン記者

ソース:朝鮮日報日本語版【コラム】台風ではなく梅雨、韓国に迫り来る長期不況
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/12/22/2015122200965.html