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:2014/03/21(金)10:24:43 ID:
100年前の1914年7月、第1次世界大戦が始まった。戦死者1千万人といわれる初の大戦を、映画もさまざまに描いた。代表作が「西部戦線異状なし」(30年)。なかで「愛する国に命をささげよ」と扇動する老教師が強烈な印象を残す。この反戦映画の名作が生まれて間もなく、ヒトラーが台頭。ドイツは第2次大戦の戦端を開く。戦後のドイツは、民族主義や愛国心をどのように乗り越えてEU(欧州連合)統合のリーダーになったのか。方、憲法改正に突き進むわが国は大きく右にかじを切った。昨年末、閣議決定した国家安全保障戦略は「愛国心を養う」とうたう。

(中略)


◆ナチスと聖戦

ナチスドイツと手を組んだ日本でも老教師のように「神州」「皇軍」「聖戦」と教え、子どもたちを戦場に送った。朝鮮人・中国人への蔑視、米・英国人を「鬼畜」とする憎悪。国のために死ぬことを唯一の生き方(死に方)と説いた。

(中略)

フェリス女学院大・矢野久美子教授(思想史、ドイツ政治文化論)によると「多くのドイツ国民は、第1次大戦を真摯(しんし)に反省しなかった。その原因になったのが“あいくち伝説”と呼ばれる主張だ。前線では勝っていたのに“背後のあいくち”つまりユダヤ人や社会主義者の裏切りで負けた、と」。そこに、ヒトラーのつけいる隙があった。

 第2次大戦は前大戦と比較にならない規模の犠牲と国土の荒廃をドイツにもたらし、ホロコーストを突き付けた。

 「否定しようのない過去と向き合わなければ、国際社会で生きられない。信頼を得るには、負の歴史を学ぶことが必要とドイツは考えた」と矢野教授。根強いネオナチなどの反発があっても、国家としてのスタンスは一貫していた。

(中略)

 矢野教授が指摘するもう一つの背景が移民。人口約8200万人のうち約19%が外国人・移民(2009年調べ)で、今後も増える見込みという。ネオナチによる移民への暴力事件が多発したことに対して、12年、ヨアヒム・ガウク連邦大統領は訴えた。「ドイツは移民国家である。将来も外国人に対する不安感を持つ人はいるだろうが、その解答は憎悪ではなく連帯であるべきだ


◆憲法愛国主義
 では、愛国心をどう位置付けるか。矢野教授は一つの成果として「憲法愛国主義」を挙げる。

 ドイツが東西に分裂していた1980年代、哲学者ユルゲン・ハーバーマスが「運命共同体としての国家や伝統などでなく、憲法の規範的な価値にドイツ人のアイデンティティーを求めるべきだ」と主張した。ナチスが喧伝(けんでん)した「人種」や「血」でなく、「自由と民主主義に基づく秩序」への忠誠。この「憲法愛国主義」が現代ドイツに浸透していると同教授は見る。

 国際社会の信頼を得るべく、誠実な反省に基づき、民族主義と国境を乗り越えてEU統合の軸になったドイツ。“美しい日本”をうたい、負の歴史を消し去ろうとする安倍晋三政権が求める愛国心は憲法愛国主義の逆を向いていないか。

 故郷や祖国への愛着は、自然発生的なものだろう。為政者は、それを利用してきた。愛国心に排他主義、敵愾心(てきがいしん)を抱き合わせて。英国の詩人サミュエル・ジョンソンは、こんな箴言(しんげん)を残した。「愛国心は悪党の最後の避難場所である